OFF THE RECORD-5
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プラボウ特殊部隊の仕業?

        7月26日、ある華人から以下の様な話を聞いた。これは最初本当か?と思う内容であるが、本人の今までの華人代表と しての「政府への圧力運動推進者」を知っている私としては、これは信用出来る情報ではないであろうか。これは非常に興味深い(不快?)話でもあり、またR氏からの話である。

        この間の暴動で、あるショッピングモールが燃えて、中で100人以上のインドネシア人が焼け死んだ。当初このニュースが入った時に、「??」が最初の反応であった。いくらインドネシア人の貧民達が略奪を繰り返していたとしても、焼け死ぬまでひたすら盗んでいたか。私はある人からその時の生写真を見せてもらったが、全員黒焦げで、天井もかなり激しく燃えた 感じであった。あまりにも死人が多かったので、外に出られなかったのかなと思った。又は、意図的に閉じ込めれたかのどちらかである。R氏の話はこうである。華人に対する殺人、店舗の破壊・略奪、女性への性的虐待等をインドネシア政府に訴え、保証をしてもらうために、R氏は複数の団体と行動を共にしている。政府への圧力をかける為、「ある証拠」があると言うのだ。一つのビデオがある。

        そのビデオには、燃えたショッピングモールの中での撮影現場である。ある米人レポーター(どこかの団体に所属)がマイクを持って、中を隅々と撮影している。天井、床、死体等全て。燃え方が異常であると言う。異常とは、通常の火災よりも激しく燃え尽きており、死体もコンピューターを抱えたまま壁に寄り添っている(立ったまま)。一瞬の出来事の様に、そのまま 焼け死んだ。これは瞬く間に火が広がったとしか言いようが無い、しかも異常な高温で。レポーターは床から燃えかすを小さな瓶に入れて、アメリカで検査すると言う。画面が変わり、白衣を来た研究者風の男がいる。現場から採取した燃え滓を分析した結果、ある科学薬品が検出されたと言う。画面には分子構造等を書いた表があり、どうもこれは非常に特殊な薬品らしい。そう、これはデュポン社が米国のペンタゴンにしか卸していない科学薬品からだ。入手ルートは非常に限定され、機密扱いだ。ペンタゴンはこれをマーティン・マリエッタ社 (Martin Marietta) と言う軍事会社に特別に卸ており、ここからは米軍に渡される。

        その薬品とは何か。これは特殊な薬品で、爆発させれば灼熱の高温が出る代物らしい。米軍では、弁当箱位の大きさで持ち運びが簡単な爆弾として使用されているらしい。箱にはコンピューターが備え付けられ(電卓みたいなもの)、これで爆発時間のセッティング等をする。特殊なコードを入力する必要があるなど、訓練を受けたものでないと絶対爆発させる事は出来ない。実験が始まった。レポーターはこれと同じ爆弾を持っており、隣の人に発火させる様に命じた。絶対出来ないのでどんあなボタンを押しても出来る訳がない。次に、米人でレスラー級の大男数人が出てきた。レポーターは今度車を用意し、これを素手で壊すように命じた。20分以上かけても、せいぜいガラスとか車体がこわれる程度。今度はガソリンを分け与え、燃やす様に命じた。燃えたが、これも普通程度。更にガソリンの量を増やしたが、勢いが増しただけで車はある程度原形を留めている。

        今度は、その爆弾をある男に渡した。その男とは、米国海軍の特殊部隊に所属する者、所謂 Navy Sealsの一人。自己紹介をしたあと、レポーターに同じ事を命ぜられた。あるコードをその爆弾に打ち込み、車の中に放り込んだ。爆弾は発火し、10分もしないうちに黒焦げどころか、その車は灰になってしまったと言う。この爆弾を発火するには、特別講習をうけないと絶対発火する事は出来ないもので、入手も特殊部隊位に限定される。早速、この訓練を受けた人間のリストを洗い出すべく、準備が進んだ。当然機密扱いなので、米国国会、軍事会社等の承認を得て、リストを出した。これには相当な時間と労力を費やしたと言う。米国の情報開示は時には凄い。各国のリストから、米国で特殊訓練を受けた軍人の名前が出てきた。1975年頃から最近に溯って吐き出されたと言う。インドネシアからはたった二人が参加していた。

       プラボウオーと当時、ジャカルタ地域の軍司令官はプラボウォ派のシャフリという人だった。二人とも既に左遷済み。現政権を落とすための陰謀である。

        ビデオは更に続く。今度はショッピングモールに群集が入った方向に行く。大きなドアが壊されている。鍵にカメラが向けられる。これはかなり頑丈に出来ているもので、バールでこじ開ける事は出来ない。壊れた鍵を見ると、これは強力な力が加わり、両方向に引きひきちぎられた後だ。これは万力の様なテコの原理以上の力が加わったと分析された。これが出来るのは「油圧式のペンチ」で、一瞬で数トンの力を加える事が出来る。レスキュー隊が車等に閉じ込められた人を救出する道具にも使用されている。車のドアのつがいを外す為に使用されるものである。これは一般人はまず持っていないであろう。「特殊な」道具だからだ。

        これをサポートする意見として、Tim Relawan (The Volunteer Team for Humanitarian Causes) も似たような事を言った。


        8月3日、1998年
        本日またR氏から会社に電話があった。「やあ、本日の為替相場はどうだい?。ちょっとドルを買いたいのだけど」。毎度の電話で、最近の市場概況及び今後の動向について多少説明した(割愛しますが...)。ところで、 I want to share some information with you と先方が切り出した。私もちょうど12時のお昼休みだったので、特に問題は無かった。で、どうしたの?何か悪い事でもあったのかと尋ねた。実は話はこうだった。

        先週の土日で夫婦共々シンガポールに健康診断に行ってきて、インドネシアに帰国したばかり。奥さんはある事情で流産したらしいので、その摘出手術に行ってきたと言う。その時の医師は、彼らと長年付き合ってきた仲の良い医者である。話はここからです。その医者曰く、シンガポールの Defense Ministry に友人が居る。その人は当然隣国インドネシアで起きている数々の非道の報告を受けており、情報も当然逐一入る。元々インドネシアはマレー系インドネシア人がルーツなので、シンガポール政府としても非常に関心がある。その人が曰く、5月の暴動はやはり計画された犯行であったとの事。74人もの特殊訓練(highly trained personnel)を受けた人間がこの暴動を意図的に引き起こし、スハルト大統領を降板させた。同持にハビビ大統領の暗殺も企てたと言う。これは計画段階でウイラント現国防司令官が事前にこの動きを察知したため、当時のプラボウオーを「左遷」させたと言う。今ではBandungにある陸上士官学校の校長をしているのも、この結果である。軍隊から放り出されたのだ。首には当然出来ない上、正式に軍法会議にかける事もインドネシア側には出来ない。これは反乱軍が自分達のエリート特殊部隊にいた事を世間にばらす事となるので、これは絶対出来ない苦しい選択の結果。

        ここまではごく普通の話で、特に目新しい事でも無い。今度は、少数精鋭(5人位)でウイラント国軍司令官を暗殺計する画があるらしい(これはkatanya情報)。個人的には、ほんまかいな、と言う感じで聞いていた。一体どこでこの様な情報が入るのだ?。ま、これはどうでも良い事で、逆に私達に分かってはいけない。最近の華人のインドネシア脱出の件で、国外逃亡出来ない人は相当Batam島に流れている。以前一戸建ての家がルピア5千万したのが、今では100百万ルピアにも高騰したと言う。ほう、まず高くなって当然。この島は面積が小さく、特にシンガポールにも最も近い、でもインドネシア領土だ。ここで新たな生活の基盤を作る華人が最近特に多いらしい。そこで、この調子ではあっと言う間に1billionルピアにもなってしまう。華人はここで家を転売してまた金儲けをするかは定かではないが、ここで数年間取り敢えず過ごすらしい。

        ウイラント国軍司令官暗殺計画がいつか実行されれば(その人曰く、そう遠くはない)、当然武器を使用した抗争になる。戒厳令は敷かれ、生活パイプラインは寸断される(電気、水道、電話、食料等)。インドネシア国内は収集つかない状態になるので、UN等の軍隊等が派遣され、事態の収拾に努めるであろうとの予想。そこで、華人が多く移住したこの島は非常に小さく、特に守る程度のものでも無い。従って、インドネシア暴動からは孤島の様な存在。シンガポール軍がここに華人脱出、又は中国が船の派遣をするであろう。その時に、地域の住民はインドネシアとの独立を宣言をした後の事である。これに反対する住民はまずいないであろうとの事で、議会の承認を受けるかは非常に難しい問題は未だ残る。特に天然資源がとれる訳でもないので、インドネシア政府としてもそこまでしがみつく利権は見当たらない。軍事的な中継地点でも無いので...。それが出来なければ、シンガポール海軍等は領海侵犯になるので、勝手に救出には来れない事情がある。

       だから、事前にここに住民として住み着き、主義を主張出来るようにある程度の歴史を構築していく。数年の短い期間であるかも知れないが、華人にはこれは重要である。だから家の値段が最近上昇しているのだと言う。ここまで考えた行動を今からするかと言えば、私には分からないが、その様な動きがあってもおかしくないと言うのがその防衛省の人......。インドネシアからは遠く、シンガポールには最も近い。インドネシアはこの小さな島には特にしがらみが無い。この推察は本当かも知れないが、考えすぎとも思う。これは実際起きてみないと誰にも分からない。また、国際通貨基金等の資金は一部国軍予算にも流用されるので、これで必要な武器を購入すると言う。

        R氏は既に前の会社を辞めた。これはまた随分と早い決断だが、どうしてだと尋ねると、答えは非常に明確だった。インドネシアの企業はこの経済危機で倒産しているのが非常に多い。彼は会社の役員でもあるので、株主代表訴訟でも起こされ、自分の財産を使い果たしてでもこの損害を払わされる可能性が非常に高い。現に、インドネシア政府はオーナー等には(殆ど華人)非常に厳しい対応を迫る。これに巻き込まれたくないので、今すぐ辞める必要があったと言う。この人はオーナーでは無いが、役員(Director)であるのでその危険性は非常に高い。辞めた後は、バリ島に移住する。これは家族全員、親戚も含めて。ジャカルタには当分戻ってこない。家は借りるが、買わない。8月迄にはジャカルタを出るらしい。もう略奪、放火、殺人には懲りたので、これがベストの決断らしい。現在、R氏は奥さんと未だ精神科医に定期的に通いあの時のtraumaから来る悪夢を和らげようとしている。