資金/為替政策・市場諸規制等(2)
Last updated on 98/11/14
罰金制度
この国では非常にユニークな罰金制度があり、基本的には何でも罰金である。ここまで銀行からお金をむしりと取らないとやっていけない財政なのかと思うくらいである。
上記定められた期間内に一回でも(一日でも)規定残高を下回る日があれば、中央銀行は罰金を金融機関に課す。これは中央銀行にある各金融機関の口座から問答無用強制的に引き落とされる。勝手に引き落とされるのだからこちらとしてはたまったもんじゃない。時々インドネシア中央銀行が計算相違をして、勝手に勘違いして引き落とすこともあり、いかにもである。それでもバックバリューで入金しないので、「みなし資金運用益」も返却してもらいたい(当然返さない)。
計算式:???????????????
罰金が貸される際に、上記計算式に不足した該当残高を代入すれば大体計算できるが、中央銀行が適用するJIBOR
(Jakarta Interbank Offered Rate)
レートがどのようなものによって大き支払いコストが異なってくる。
(1)流動性最低維持残高を下回れば、それに対するコストを支払う。
(2)上記残高をさらに下回り、中銀残高がマイナスに転じれば、更に追加コストとしてOD
Interest (Over Draft、当座貸越金利)が適用される。残高がマイナスに転じると罰金が二回課される計算となり、これは場合によっては年利ベースで50%以上になることがある。
政策金利
こんなもんあるの?と時々聞かれますが、なんと一応あるのです。これは通常はSBI(政府短期証券)とSBPU(政府短期貸出制度)と呼ばれる。
S.B.I. (Certificate of Bank
Indonesia)
"A certificate issued by the Central Bank as one of
their instruments to absorb excess Rupiah liquidity in the interbank money market
operations"
と言うのが定義である。所謂日本で言う日銀の手形売りオペと同じ。これは毎週水曜日に定期的に発行されるものであったが、1998年??月??日以降「オークション制」に変更された。主な段取りは以下の通り。
(1)火曜日に翌日にオークションされるSBI(政府短期証券)の総金額をインドネシア中央銀行が市場に通知される。
ディーリングルームではこれはロイター機器を通じてニュースとして発表される。
(2)当日の水曜日午前中にインドネシア中央銀行のディーリングルームをロイターで呼び、顧客の注文金額、期間、
希望金利を先方に伝達する。当日の午後4時半から5時頃に結果をロイターでまた自ら中央銀行に確認する。
平均落札金利と中銀が実際に市場から吸収した総金額が発表される。
(3)木曜日に実際の資金決済がインドネシア中央銀行と各金融機関との間で行われる。
最近は一般顧客も購入できるので注文が増えているが、以前は金融機関しか購入出来なかった。 |
<主な特徴>
- 購入可能対象は個人、一般事業法人、金融機関。
- 最低購入金額は個人で, IDR 500,000,000 、一般事業法人は IDR
1,000,000,000。
- 発行期間は1ヶ月物と3ヶ月物がある。但し、しこれは順次期間の種類を増やしていくものと思われる。
- 購入方法は、個人・一般事業法人は直接金融機関で申し込む(大体は火曜日までに依頼)。
- 割引方式で発行される (Discount basis)。
<SBI(政府短期証券)の役割とそれにまつわる質問事項>
(1)ルピア為替相場安定のための金融政策として、「SBI金利の操作」という手段がよく採られる。どのように金利に影響するのか?
SBIというのは「Bank Indonesia
の発行するルピア建て短期債券」であり、市中銀行が引き受ける(又は競り落とす)。インドネシア中央銀行は、この金利を上げる事により、ルピアの対ドル相場を安定(ルピア高、ドル安)させようとしている。この金利を上げると、金融機関としてはインドネシア中央銀行への資金放出(所謂中銀に資金を貸し付けている)にもなり、各銀行の定期預金金利も上がる。
ということですが、ここで疑問下記。
(2)SBIというものの実体はあるのか?つまり有価証券として形があるのか。
それはあります。オークションが毎週開催される以前は、14日以上のSBI(政府短期証券)を購入した時のみに発行されていた。
それ以下の日数ですと、コンファメーションシートみたいな紙(SBI購入証明書みたいな)がインドネシア中央銀行から来ていた。通常はファックスでただ単に購入金額、レート、期間等が記載されていたごくシンプルなものだった。現在は、制度も若干変更された事もあり、証券現物は一般購入者の手元に行く。但し、希望すれば、「証券預かり証」が発行され、証券現物は中央銀行にて保管される。
(3)日本での国債・米国でのT/B(財務省証券)と類似したものならば、あくまで大蔵
・財務省が発行するべきではないのか。
インドネシアでは中央銀行が発行する。特に日本では大蔵省が発行しているからこれが世界標準である事とも言えない。その他の国々では、大蔵省などが発行し、それを中央銀行が引き受けるルートもある。
(4)あるとして、発行額・利率等はインドネシア中央銀行の専管事項なのか。(中銀総裁が利率について発表するので)
これはインドネシア中央銀行の専管事項です。大蔵省には若干は相談しているかも知れないが、大蔵省大臣は特に中銀総裁には文句が言えない。
(5)利率を上げるとか下げるとかいうのはどういう意味か。毎週か毎月か定期的に発行されていて、その都度表面利率(or
割引率)を明記して額面で「販売」、それを市中銀行が入札で買うのか(日本国債のイメージ)?
中央銀行の購入周期は毎週水曜日。中銀総裁が上げると言ったら上げ、火曜日に発表された総希望吸収額を購入する。
(6)発行済みSBIの流通市場はあるの?
セカンダリーマーケットは(一応)ある??。但し、既に購入した金融機関、一般事業法人、個人などに直接行って値段(金利)を交渉して買い取るので、非常に面倒臭い。これはセカンダリーマーケットがあると言っても、米国の様にきちんと整備されたものではないし、これを仲介するブローカーもいない。
(7)金融政策手段として、公定歩合操作とか預金準備率操作といった他の手段は無いのか?
公定歩合に相当するのがSBI(政府短期証券)。預金準備率もあるし、当然これを上げる事により資金市場をタイト(引き締める)にする事も出来る。
S.B.P.U. (SURAT
BERHARGA PASAR UANG)
The result of Liberalization of monetary Policy after the devaluation on
March 30, 1983 were ;
(1) Asset ceilings on banks' loans were abolished.
(2) Introduction of SBI or Bank Indonesia Certificates.
(3) Introduction of Discount window as lender of last resort
(4) Special credit facility
(5) Introduction of SBPU or sales of money marker notes in secondary market in janausry
25, 1985.
"Money market notes in rupiah currency issued by banks or customers which can be
negotiated through discount with financial institutions appointed by the Central Bank or
directly with the Central Bank or with local banks which have excess liquidity"
と言うのが定義である。所謂インドネシア中央銀行の資金貸出窓口である。
これは早い話、中央銀行が一般金融機関に貸し出す金利であり、期間も様々である。では、市場金利が高騰した」時に本当に中央銀行はこの金利で一般金融機関に貸してくれるか?答えはNO。これは倒産しそうになる、相当の緊急度合いにより実施されるだけで、特に中央銀行の各タームの指標程度にしか使用出来ない(つまり参考値だけ)。
KIRA KIRA 理解方法
上記簡単に説明させて頂いた政策金利をまとめれば、こんな感じで理解して頂ければ幸いです(一般人はこんな感じで理解すれば十分!)。
SBPU :
中央銀行が決める「金利の上限」
SBI :
中央銀行が決める「金利の下限」
これで金利の上下が決まる事になり、インドネシア中央銀行が各ターム(期間)のどの程度にしたいかが読み取れる事となる。我々ディーラーは更にこの情報に現在の市場金利をプラス考慮する事により、中銀がそろそろ市場介入するか(BI Intervensi Rateを参考)、今後の思惑、政策変更等を読み取ろうとするのです。
※ このBI
Intervensi Rate(金利の下限)とはなんぞや?これはインドネシア中央銀行が一日から一週間の期間を決めて、政策金利を更に細かく刻んだものであり、これで手前の短い期間についての指標金利としている。当然基本的には市場金利の更に下のレートを設定しており、これ以上に市場は反応すれば中銀が市場のビッドレートを”叩いてくる”。
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